広報紙。輝くひとみ33号インタビューの追加記事です。
村 -よろしくお願いします。
ではまず制服を変えるという大きなプロジェクトが今進行中なんですが、今回このプロジェクトをしようと思ったきっかけを教えてください。
美 去年くらいから日本全体とか社会でSDGsが普及し始めた頃で、私がたまたまテレビでSDGsの特集を目にして、自分が当時生徒会に入っていたのでそこでできることはないかな、と考えて。
村 -美藤さん発信だったんですね?
美 それは大袈裟ですけど(笑)
今や当たり前となっているSDGsですけど、あまり普及していないところで、自分たち中学生がどんどん地域とかに発信していったら影響するんじゃないか、という気持ちもあって。でもあんまりイメージが湧かなくて、ちょっと大きすぎるんじゃないかなって。
村 -そうですね、世界的なプロジェクトですからね。
美 はい。でも「まずやってみよう」という気持ちがあって。
村 -では、生徒会の皆さんに最初にお話ししたんですね?
美 はい。月1回委員会があって集まって話し合いをする機会があって、その時に「こんなプロジェクトがあるんだよ」ということを話しました。
村 -それを聞いた時、皆さんはどう思われましたか?
森 SDGsという言葉をその時初めて聞いたので、「よくわからん」というのが第一印象だったけど、話を聞いて、行動していくのは大事だなって思いました。
山 私もあまり聞いたことがなかったし、どんな目標があるのかも知らなくて、自分らに何ができるのか想像もつかなかったんですけど、柚希がしてくれる話とか皆で考えながら話していくうちに興味を持って取り組めました。
大 僕も初めは何も知らなくて。でも聞いていくうちに面白そうやなと思いました。
石 SDGsの言葉を知らなくて、新しすぎるなという感じだったんですけど、深く知っていくうちにジェンダー平等とか初めて聞いて、内容を見るとそれって大事だなって。
村 -すばらしいですね、そうやって前向きに考えられるって。調べてみるとSDGsとは「持続可能な開発目標」ということで、2030年までの長期的な指針で、世界中の皆で考えたり行動していこう、というプロジェクトのようですね。
菊 子どもたちにはSDGsってどんなもので、どんな目標があるのか、というのをクラスで話し合ってもらったんですね。そして生徒会の子たちが「17の目標はこんなのがあります。その中でどんなことができるか、どんなことをしてみたいか」というのをクラスごとに出してもらったんですね。そしたら多かったのがジェンダー平等とか海のゴミ問題とかいじめのこととか。じゃあその辺からやってみる?という感じで、まずはジェンダー平等についてやっていった、というこ とです。
村 -では生徒さんから発生した、考えたい・学びたい、ということから?
菊 そうですね。生徒会が呼びかけて、全校から出てきたのがこういう流れになりました。
村 -では、SDGsについて勉強した後、どんな思いが出てきましたか?
美 制服って身近すぎてそれが当たり前になってしまって、女子はスカート・男子はズボンとか。それしか経験してないから。当時は制服をジェンダーレスにするってことがピンとこなくて、でも調べてみたら全国でもそういう動きが広がっていることを知って。
村 -制服を変えよう、というのも、こういう勉強をした後にこんなことをしてみようかって?
美 はい。身近なところから広げて、できることからやっていこうと。
村 -では、このプロジェクトを進めるにあたって、先生方や同級生、後輩、周りの人たちの反応っ てどうでしたか?
森 制服を残していったら、地域の人が立中生ってすぐわかったり、卒業生が懐かしいなって思える環境が今できているから、そんなにスムーズには変えれないんじゃ、ということは先生に言われました。
村 -新しいことをする時には必ずそういう問題が出てきますよね。他にはありますか?
美 皆そもそもSDGsを知らなかったみたいで、初めて知ったよという先生もいらっしゃって。
村 -じゃあ、発信できてよかったですよね。
美 そうですね。これを機に世の中の動きや問題を知れて良かったです。
村 -では、ジェンダーレスについては、その言葉とか内容について勉強してどう思いましたか?
山 自分のところでは男やけん女やけんていうのはあまり気にせずきたんですけど、周りにはやっぱり男らしさとか女らしさを大事にされているところはいっぱいあって。これを発信している時も、周りからジェンダー平等を達成するのは難しいという意見もありました。
村 -簡単にはいかないことですよね。
大 マンガとか読んでても「男だから」とかってよく見たりするんですけど、考えていくうちに「そ れって何かおかしいな」って思ったり、考え方が変わっていきました。
石 僕ピンク色が好きなんですよ。でもやっぱり言いづらいというか。
村 -あ~イメージが女の子寄りなところが。
石 はい。そういうところがあって言いづらかったんですけど、皆がSDGsとかジェンダーとか知 って、ちょっとだけ言いやすくなったかな。
村 -もっと自由に生きれたり、男女関係ないシーンがあったり、皆が理解しあえるような世界にな ったらいいですね。
続いて、自分たちから発信した案で、制服やそこに伴う校則とかも変わるかも、ということにつ いどう思われますか?
美 私、まさかこんなに大きい活動になるって正直最初は思ってなくて。でもだんだん皆も協力してくれて、先生方やPTAの方、地域の皆さんも賛同してくれた結果、学校の歴史や伝統を変える立場に自分たちがあるってことを感じています。
これを前向きに思ってくれる人もたくさんいると思うんですけど、前の制服を大事にしたいという方ももちろんいるし、その方々にもこういう背景があって今世界ではこういうことが起こって います、という根拠を伝えることを心がけます。
森 大きい事だけど変えることで時代にも合っていくし、自分はプラスの方に動いていくような気がして、考える時もすごく楽しかったし、周りの人も一生懸命考えてくれて、立中全体でまとまったような感じがしたのですごくいいなって思いました。
山 立中の時に校則や制服を変える活動を周りの皆が肯定しながらサポートしてくれて、皆たくさん案を出してくれて、皆で進んでこれたんですけど、高校入って周囲の環境が変わったら、古いことを変えて新しいことを始めるってすごい難しいことやったんやなって思って。この立中でいろいろ変わっていくのはすごい良いことだな、と思っているので、もっと発信していってほしいなって思います。
石 変えることって大事だけど、皆の意識の中にあることを変えるって大変じゃないですか。でも固定概念を変えれたらなって。
村 -今回皆さんから発信したプロジェクトで、新しい発想が色々出てきたと思います。本当にすごい動きだと思ってます。
では、制服を変えるこのプロジェクトを進めていく中で、良かったこと、または困ったことや失敗したことがあれば教えてください。
美 SDGsだけじゃなくて、世界で起きている問題とかまだまだ無知だったということを実感して。次の社会を担っていくのは自分たちなので、今からこういうことを知っていくことで、大人になった時に行動に移しやすくなったり世界のことに関心を持つという意識が生まれやすくなったりするのかなって思いました。
SDGsをきっかけに、立中の人たちが色々な問題に目を向けるようになったのが良かったと思ってます。
村 -素晴らしいです!
正 -これに続く学校に向けて、先駆者としてアドバイスがあれば?
美 制服を選ぶ時、これかわいい!とか
森 そうそう!
美 ジェンダーレスというか、デザインがかわいいけんこれにしよや、とか目的がちょっとずれてた ところはありましたね。
森 高校に入って「立中制服変わるんやろ?」とか聞かれたけど、ジェンダーレスという視点じゃなくて「かわいくする為ないん?」とか「古い制服だから変えるんやろ?」とか言われるので、主旨をはっきりわかってないと勘違いして広まっていく。それは違うかなって思います。
村 -そうですね。何で制服を変えたのか、という大事なところはちゃんと発信できたらいいですね 。
では、在校生へバトンパスする時の思いを聞かせてください。
美 もちろん自分たちも着たかったし(笑)残念な気持ちもあるんですけど。今の生徒会役員はしっかりしてて引き継ぐ時もすごい真剣に聞いてくれて、ちゃんと伝わったな、という感じがして信頼してます。当時自分たちが持っていたSDGsとか、制服を通して世界の問題に目を向けようっていうメッセージをちゃんと伝えてくれると思っているので楽しみです
。
森 引き継いだ後も、今こうなっています、っていう連絡をたまにもらったりして、すごい良い方向に進んでいっているのがいいなって思います。
自分は着れなかったけど、妹や地域の子が自分たちが変えた制服を着ているのを見れると思ったら、活動してて良かったなって。
山 自分たちが始めたプロジェクトを、今の生徒会の子たちは当時クラスの中心となって話し合いに参加してまとめてくれていたので、バトンパスする時は頼もしかったし、今も頑張って活動を続けて本当に現実的なところまでちゃんと進んできているのですごい楽しみです。これからも頑張ってほしい。
大 自分たちも、このプロジェクトは1年間やってきて楽しかったので、今の子たちにも毎日楽しんでほしいし、その為にこの制服とかも変えていると思うので。本当に楽しんでほしい。
石 正直不安やったんですけど、自分たちもちょっと考えがそれることもあったし。ジェンダー平等ってことからそれてほしくないなっていう気持ちがあったんですけど、今の子たちは僕より真剣に話を聞いてくれるし、頼りたいなこの子たちに任せたいな、という気持ちでした。
村 -しっかりとバトンパスができて、任せられるメンバーで良かったですね。
では最後の質問になります。皆さんが発案して動いてきたプロジェクトが形となって世に出たわけですが、SDGsに携わった今、自分たちが住んでいる地域・社会に対してどんな希望がありますか?
美 今回変わる制服もいずれ伝統となって引き継がれていくので、その制服と共に変わる背景まで思い出してもらえたら意義があるし。今テレビでしていることって自分たちには関係ないとか思いがちなんですけど、逆に地域で結束してやっていくことで「当たり前」にできる気がするし、地域でやった方が効果があったり上手くいったりすると思います。なので、身近なつながりを大切 にして自分たちにできることをこれからやっていけたら、こういう風に制服が変わった意味があるのかなって思います。
村 -先生、今治は安泰ですね(笑)
菊 あなたたち、都会に出てもUターンして帰ってきてよ!
森 将来都会に出ていくってなった時、自分たちが今治でやってたことを見てくれてた人たちが都会に行って広めてくれたら、今治とか愛媛だけの活動じゃなくてもっと広いところでの活動になると思うし、大人じゃなくて未来ある中学生が活動していくってことは広がりやすいかなって思いました。
山 自分たちが活動を始めようってなった時に、自分たちは偶然周りの大人たちも活動に賛同してくれて、たくさんの大人が助けてくれて、自分たちが中心になってやってきたみたいになっているんですけど、他のところだったら本当に子どもが出した意見って、大人の理論で簡単に「無し」 みたいになってしまうことが多くて…だから地域全体として、子どもや若い人の意見も聞いてくれるようになったらいいなって思います。
村 -そうですね。若い人の斬新な意見や新鮮で純粋な気持ちが、もっと皆に広がったらいいですね 。
大 今ある状況で苦しんでいたりする、人を助ける為にこのSDGsのプロジェクトは行われていて、でも何でもかんでも変えるという訳ではなく、ちょっとずついい方向に変えていけたらいいなと思います。
石 地域や社会の中の大きいまとまりを変えるには、僕らみたいなたかが中学生・高校生数人だけで 変えられるものじゃないので。僕たちだけじゃなくて、僕たちが考えたことを、例えば生徒会から学校へ、学校から先生へ、保護者の皆さんへ地域へ広めて、社会をより良くしていきたいと思います。
村 -皆さん、中学生の自分たちにこんなことができるやろかっていろいろ悩んだり考えたりしたと思うんですけど、何かが起こる時ってそういう小さい声から発信して出来上がったものがたくさんあると思います。思いや声を届けることによって変わっていきますよね。皆さんのピュアな気持ちを大切にして、その気持ちを発信するということを続けていってほしいと思います。
菊 いま一年生を担任しているんですけど、こんな思いがあって制服変えたんだよっていうのを子供たちに話しています。
これからの私たちの課題は、何のために選択制の制服にしたのか・何のためにこんなことを考えたのか、というのが未来の社会を作るためなんだという、そこをしっかり受け継いでいかないといけないな、と思っています。ただそこが一番難しいところなので、これからの私たちの未来の社会をどういう風にしたいのかということを、これからもしっかり話し合いたいと思います。この子たちが「これからは男らしく・女らしくではなく、自分らしく生きていけたらいいよね」って言っていたのを聞いてめっちゃ感動しました。そういう言葉で世界が変わるよね!
全員 ねー!変わる!変わるよね!
村 -これからの世の中、皆さんも是非自分らしく楽しく生きていってほしいと思います。今日は本当にありがとうございました。
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